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病原体の運び屋
ハエは動物や人の糞便、血液などに接触してこれらが持っている病原体を運びます。そして、病原体が食品などに付着してそこから、動物やヒトの体内に入り感染します。
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寄生虫の中間宿主
ハエは眼虫や胃虫などの寄生虫の中間宿主なり、ハエの体内で発育した寄生虫が、ハエによって最終宿主に運ばれ感染します。
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ハエウジ症
ハエの幼虫が、動物や人の体表または体内に寄生して起こる疾病を(ハエウジ症)といいます。犬や猫、人にハエの幼虫が寄生する場合は、「偶然寄生」といいます。(本来の寄生現象とはことなります。)犬や猫、人のハエウジ症の原因となるハエは主にニクバエ類ですが、その他の種類のハエなども原因となることはあります。
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犬や猫でみられるハエウジ症
ハエの成虫は幼虫が生息しやすい適当な温度と湿度があり、かつ幼虫の餌が豊富にある場所に産卵します。動物や人が健康な皮膚を持っているときにはハエウジ症を発症することはありません。しかし犬や猫の体に外傷や床擦れなどがあると、そこにハエが産卵して孵化し、幼虫が寄生することになります。これを外部ハエウジ症とよびます。
外部ハエウジ症では、寄生した幼虫が傷の表面を移動し、傷口からの滲出物や死滅した細胞などを節食します。このため、痛みや刺激を伴なう炎症と壊死を引き起こします。また、細菌の二次感染を起こして化膿することもあります。ハエウジに侵された場所は匂いがするようになり、とても不衛生な場所になります。
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また、ハエの卵や幼虫に汚染された食物を摂取した際にも消化器症状を起こすことがあります。(内部ハエウジ症)さらに最近では老化や疾病などで衰弱した犬や猫の肛門などにハエが卵を産みつけることによるハエウジ症がみられます。これらは免疫力の低下も関係します。
内部ハエウジ症を起こすことはまれですが、嘔吐や腹痛、下痢、血便などを発祥することもあります。 |
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どんなケアをしてあげればいいか?
外部ハエウジ症は、寄生した幼虫と、ハエが産卵する原因となった外傷や床擦れに対する処置が基本になります。患部を洗浄液で洗いながら幼虫を丁寧に除去し、壊死した部分や汚染された被毛なども取り除いてあげましょう。また、二次感染を起こしている場合、あるいはこれを予防するために抗生物質を投与する必要があるでしょう。
内部ハエウジ症の場合は消化器症状に対する治療になります。ハエウジ症の発生には不潔な飼育環境が最も深く関係しています。傷口や床擦れなどの部分を清潔に保つことは当たり前のことですが、周辺の環境も清潔にすることが重要です。ケージ内の敷物を清潔に保つこと、残った餌、糞便などをまめにチェックし適切に処理してあげてください。
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アドバイス
動物の皮膚が健康な場合は発症することはありませんが、皮膚が外傷などによって損傷したときは獣医師の診察をうけましょう。そして、患部を清潔に保つことを心がけましょう。また、高齢だと、ハエウジ症を発症する可能性が高くなります。これらを予防するため、衛生的な環境で飼育してあげましょう。
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犬や猫のハエウジ症の予防にはこの疾患に対しての正しい知識を持つこと、飼育環境を清潔に保つことも重要です。神経質になりすぎて毎日その場所を消毒しつづける必要はないと思いますが、高齢の子は体が不自由になり自分の思うような動きが出来ません。その子たちに少し人間の方がお手伝いしてあげるだけで防ぐこともできるでしょう。
ちょっとの時間でも良いので動物に目を向ける時間を増やしてみてあげてください。お互いによりよい環境で生活できることが関係を長続きできる秘訣ではないでしょうか。
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5月〈1〉ハエウジ症について |