坂井獣医科動物病院

/フィラリア症の原因…もっと詳しく(ちょっと難しい)
フィラリア(犬糸状虫)に感染している犬の体内にはフィラリア成虫と、成虫が産出し、血流にのって体中のいたるところに存在している、子虫(ミクロフィラリア)がいます。

1. ミクロフィラリアは蚊が犬を吸血したときに蚊の体内に入り、約2週間かけて2度脱皮し感染能力第三期仔虫(感染仔虫)まで発育します。(ただし、ミクロフィラリアは蚊の内部でしか成長出来ず、外気温が17度以下だと脱皮できません。)

2.

感染幼虫を持った蚊がほかの犬を吸血するとき、血を吸う管の側にある唾液の管の出口で待機していた感染仔虫が唾液とともに押し出され、皮膚に付着。蚊が離れるとすぐに、蚊の刺した穴から侵入します。

3. 犬の体に入った幼虫は2〜3ヶ月かけて皮下、筋肉内で成長し、新たに2度の脱皮を繰り返して第五期仔虫に成長。2センチ程度の体長となり血管のなかに入ります。

心臓模型
4. その後、血管に侵入して心臓や肺動脈に寄生し発育を続けてます。3〜4ヶ月後には成虫となりミクロフィラリア(子虫)を産出し始めます。感染後6ヵ月たてば、オスなら体長20cm、メスなら体長30cmほどの成虫になります。

虫の数が少ない間は肺動脈内に寄生していますが、数が増えるにつれて心臓の右心室・右心房、そして大静脈へとあふれていきます。まれに後肢の動脈に虫体がつまり、足先が壊疽したり、眼球内に入ったりすることがあります。

フィラリアの寿命は五、六年と言われますが、予防薬を定期服用していないと、毎年、新たに感染したフィラリアが加わって、年ごとにその数を増やしていきます。

この記事は2006年5月現在制作された内容です。記載内容は予告なく修正、変更を行なう場合が有ります。
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