坂井獣医科動物病院

/12月エキゾチックアニマル(シマリス)について
今月はエキゾチックアニマル(シマリス)についてお話したいと思います。
シマリスもほかのペットと同じようにいろいろな病気になりますので、今回はシマリスに多い疾患を取り上げたいと思います。
シマリス(Asiatic chipmunkのデーター
げっ歯目リス亜目リス科シマリス属
頭胴長 約15cm
尾長 約12cm
体重 約80〜130g
体温38度(冬眠時は環境温)
心拍数 310〜400/分
呼吸数 75回/分
性成熟 生後3ヶ月 繁殖は1歳前後から
妊娠期間 28〜35日(平均30日)
離乳40日
産子数3〜8頭(平均4頭)
乳頭8つ
寿命5〜10年
シマリスイメージ
リスの主な病気
眼科疾患、口腔内疾患(頬袋の病気と不正咬合)、消化器疾患(腸炎と寄生虫)、熱中症、日射病、皮膚疾患(皮膚病と自咬症)、呼吸器疾患(鼻炎と肺炎)、尿路疾患(膀胱炎、膀胱結石)、外傷(過長爪と骨折)、腫瘍、心疾患、子宮蓄膿症、栄養性疾患(くる病と脱毛、肥満)、などリスもいろいろな病気があります。この中の2つの疾病を取り上げて見ましょう。
1.消化器疾患(腸炎、寄生虫症)
【原 因】
食事が原因となる場合(毎日新鮮な食事を与えられず腐っていたり、水の取替えも毎回せずその水を摂取してしまう場合、食べすぎ、飲みすぎ、食事の変更など)や食事の偏り、また細菌性の場合は抗生物質が原因となる場合もあります。その他に寄生虫(ジアルジア、トリコモナス、コクシジウム、糞線中、盲腸症など)にも気をつけましょう。
 
【症 状】
症状としては、下痢になると肛門周りが汚れていたり毛が濡れていたり床材が汚れていますのできづきます。
下痢がひどくなると水様便になり、肛門が赤くただれ直腸脱になる可能性もあります。
全身状態が悪くなると脱毛が始まり痩せて、ふらふらしだします。低蛋白性の浮腫が起こる場合もあります。
 
【治 療】
まず第一に原因を取り除き整腸剤のほか症状によって経口や注射で補液をして脱水症状の改善を行います。便の状態が安定するまでペレット中心の食事にし果物などはさけ、食物繊維の多いものやチーズなどの高タンパク質のものはなるべく与えないようにしましょう。
直腸脱になってしまった時は外科的処置が必要になります。

【予 防】
・食事が関係している場合はカビや腐敗しないように食事はまめに取り替えましょう。
・掃除もまめにすることが大事です。
・偏った食事は避け、バランスのいい固形のペレットを与えましょう。
・水溶性の下痢は死亡率も高いので早めに来院しましょう。

2.呼吸器疾患(鼻炎、肺炎)
【原 因】
細菌やウイルスの感染、飼育環境の温度、アンモニアやタバコの煙などの刺激物質、換気が悪いことなど原因となり発生します。その他、歯周疾患による炎症が鼻腔に波及したり、食事内容の急変や若齢、高齢、妊娠など免疫力が低下したときにもかかり易くなります。
 
【症 状】
上部気道とよばれる鼻腔や副鼻腔、咽頭などで最近が増えて炎症がおきるとクシャミが出たり、鼻汁がでて鼻の周りが汚れだします。そして鼻が気になりこすって前肢を鼻汁でよごしたり、涙があふれたり、目やにがでたり、まぶたや結膜が赤くなったり腫れたりします。症状がひどくなると目の周りの毛が抜ける場合もあります。
 
【治 療】
治療は、抗生剤や食欲増進剤や経口の高栄養液、輸液、点眼薬などを使って治療します。慢性化することが多いので症状が治まった後も定期的な検診が必要です。
抗生剤とともに乳酸菌剤などを投与しておくと、腸内の正常細菌嚢のバランスが崩れにくくなります。
歯が原因の場合は、抜歯などの処置が必要なこともあります。

【予 防】
・抵抗力が落ちないようにケージ内の環境や飼育状況、栄養バランスに気をつけましょう。
・室内の温度差をなるべく小さくし、隙間風を防ぎ、湿度を適切に保ち換気にも気をつけましょう。
・リスはなかなか触ることが難しいので環境を整えることを一番に考えてあげましょう。

いかがでしたか?
今回は消化器疾患、呼吸器疾患と2つの疾患を取り上げてみました。
まだまだ色んな疾患はありますが毎日の観察や環境を整えることで健康状態を保ってあげれるでしょう。
また、エキゾティックアニマルは取り上げたいと思っています。
みなさんに少しでも役立っていただけると幸いです。
シマリスイメージ


この記事は2006年12月現在制作された内容です。記載内容は予告なく修正、変更を行なう場合が有ります。
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