/ 8月〈2〉 口腔疾患で来院したときの病院での検査(非麻酔科)
 顔の腫大が片側か両方か、排膿はないか、痛みはないか観察していきます。そして、口唇や頬骨部の状態、顎関節の開き方や閉め方の異常の有無、下顎リンパ節の腫大、腫瘤の確認、下顎のリンパ節なのか唾液腺なのか区別できない場合もあります。腫大があるならば針吸引生検での細胞診が必要になります。

口腔内検査の流れ
いよいよ口腔内の観察です。粘膜の色や口腔粘膜の色(特に黒色の範囲、隆起)、歯肉からの出血の有無、潰瘍や口内炎、歯肉炎の有無、腫脹、腫瘤、内歯瘻(歯の化膿性病巣から口蓋や口腔粘膜に向かって形成される通路)顔面皮膚に向かって形成された通路(外歯瘻)の有無も確認します。続いて、上顎と下顎の歯の数のチェックします。小型犬では欠歯や過剰歯、乳歯遺残も多いです。また、異物の有無、歯肉の色や腫脹、歯石の有無、舌の表面や裏側に腫瘤などの異常があるかチェックします。

※歯数
犬の乳歯は28本、犬の永久歯は42本、猫の乳歯は26本、永久歯は30本です。小型犬では欠歯や埋伏歯(歯肉から萌出できずに顎の中にある歯)、乳歯遺残も多いです。

口腔内検査の流れ
咬合の異常
おかしな向きに歯が生えていないか、ねじれて生えていないかこれらの歯性不正噛合の有無を確認します。正常か、上下の顎の長さは正常か、上顎が長いのか下顎が短いのか、上顎が短いのか下顎が長いのか、上下顎の正中があわないなどの分類をします。短頭種では上顎が短く下顎が長くても正常とみなします。

歯の形や色調の異常
咀嚼によって歯がする減っていないか、エナメル質や象牙質が失われていないかなどのチェック、エナメル質形成不全により歯の表面がデコボコで茶色く部分的に変色した犬がいます。

歯数
歯肉炎や口内炎の確認
局所的か全体的かを観察します。舌にも潰瘍や炎症がないか、可能なら唾液腺の状態も確認します。気管内の確認も可能なら行います。

異物の確認
おもちゃの破片やひも、糸状の異物、骨が引っかっかっていないか確認します。麻酔下で喉の奥に異物があることを見つける場合もあります。

痛みがひどいと警戒して噛み付くこともあります。その場合は鎮静や麻酔をかけたりして観察するほうが動物にとっても、ストレスが少ないことが多いでしょう。最終的な確認は、X線撮影も絡むため、短時間の全身麻酔下で行うことが多いでしょう。

今回はここまで!次回麻酔科でどんな検査をしているか取り上げたいと思います。

8月〈1〉 口腔内疾患や歯科疾患の有無について

この記事は2010年8月現在制作された内容です。記載内容は予告なく修正、変更を行なう場合が有ります。
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