坂井獣医科動物病院

/4月〈2〉 眼について
次は実際にみた映像の、眼球内の通り道についてお話します。角膜から眼球内に入った映像が網膜に到達するまでの通り道を通光器官といいます。

通光器官について
角膜から眼球に入った映像は、最初に眼房(眼房は眼房水という液体に満たされています)を通過します。(眼房水は血管の分布していない水晶体や硝子体(後述)に栄養を補給するとともに、眼球内の圧力(眼圧)を一定に保つ役割をもっています。この眼房水は毛様体突起の上皮から分泌されていて、虹彩と角膜が接続する部分から吸収されています。この分泌量と吸収量が一定に保たれていることで眼圧が一定に保持されます。

眼房を通過した映像は今度は水晶体を通過します。水晶体は主に水分とたんぱく質からつくられている透明な両凸のレンズで視覚の遠近のピントを調節しています。

硝子体は水晶体と網膜の間を満たす無色透明なゼリー様の物質で、眼房水とともに眼球の内圧を保つ役割をしています。

瞳孔からはいった映像は、水晶体で屈折して網膜に到達して映し出されます。(眼球内がある程度暗いほうがはっきり映るので眼球内を暗くするため脈絡膜に暗色の色素が多いのです。

網膜に映し出された映像は、網膜を形成する神経細胞の層を貫いて視細胞に到達し、これらの細胞内にある視物質という物質に作用します(化学変化)。これらの物質がおこした化学変化は電気的反応に変換されて神経細胞から神経節細胞に伝えられ、この神経節細胞が網膜各部から放射状に集まって束となり、視神経乳頭から眼球外へ視神経として出て、最終的に大脳皮質の視覚野という部分へと連絡しています。
豆知識
水晶体を通過して眼球内に入った映像は、上下左右逆で網膜上に映し出されています。さらに左右網膜の鼻側から出ている神経は、眼球を出た直後に交叉(視交叉)しているためこの神経が伝達する映像もここで左右逆になってしまいます。
上下左右逆のうえ左右逆では全体の映像がさっぱりわかりません。しかし犬、猫ちゃん達はそのままの姿でちゃんとみえています。なぜでしょうか?
その秘密は大脳にあります。バラバラになった映像は最終的に大脳皮質の視覚野に伝達され、ここで情報を整理して正しい映像として認識されています。さらに大脳はその受け取った情報を眼でみていると感じさせています。つまり視覚情報を眼で受けているんですが、実際には大脳でみているということになります。眼でみているとおもっているのですが大脳がそう錯覚させているだけなのです。

通光器官

今回はここまでにしておきます。また機会があれば眼の病気や白内障手術などもお話できたらと思っていますのでお楽しみに!!

参考資料AS2006年12月号

4月〈1〉 眼ついて
この記事は2007年4月現在制作された内容です。記載内容は予告なく修正、変更を行なう場合が有ります。
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