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7月〈2〉 人獣共通感染症 マダニ
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マダニ
マダニは山間部などで多くみられるが、都市部でもみられます。
マダニ類には病原体を伝播するものが多く、マダニ種によっても異なりますがウシ、イヌに寄生するピロプラズマ原虫(バベシア)のほか、ヒトの疾患としては、ダニ媒介性脳炎ウイルス群や紅班熱群リケッチア、野兎病及びライム病の病原体などを媒介します。
感染動物との接触、あるいはマダニの生息地へ侵入することにより感染を受けます。
マダニ(吸血前)
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症状
各種のマダニは多種の動物に寄生します。寄生することにより動物は落ち着かなくなります。また、イヌなどでは趾間に寄生するとは跛行をしめすことがあります。吸着部位には炎症が生じ、動物がこの部位を掻き、その結果、皮膚が傷つき細菌の二次感染が発生することがあります。たくさんの寄生をうけると吸血により貧血を発します。また、吸血時に動物体内に注入する唾液に含まれる成分によって、まれにダニ麻痺を発症します。
マダニ(吸血後)
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診断及び検査
皮膚に寄生したマダニを見つけることによって診断します。検査は、肉眼で動物の体表を観察します。飽血した雌のマダニは非常に大きくなっており、見つけることは簡単です。
マダニが吸血した状態
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治療及び予防
治療方法としてはノミと同様滴下式の駆虫薬が使われています。動物病院で相談してみてください。
予防としては感染動物との接触を避け、マダニの生息地(山、芝生、草むらなど)には侵入しないように気をつけましょう。
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ヒトへの感染
ヒトも感染動物との接触、あるいはマダニの生息地へ侵入することにより感染を受けます。ヒトでは脇付近、後門周囲などに寄生します。無症状で経過することが多いようです。しかし、ときに吸着部位に刺激が発生します。
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診断及び検査
診断は、皮膚に寄生するマダニを発見することによって診断します。検査法は動物の場合と同様です。
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治療及び予防
症状が出ていなくてもマダニ類は多種の病原体を媒介するため、すぐに駆除すべきです。ヒトにおいては、ほとんどのマダニ感染症はごく少数の個体の寄生を受けているにすぎないため、これを直接、分離するのがもっとも有効な方法でしょう。このとき、マダニの顎体部が残らないように注意しましょう。
感染動物との接触を避けマダニの生息地への侵入をさける以外に有効な予防方法はないでしょう。
参考文献 日本獣医師会共通感染症ハンドブック
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この記事は2007年7月現在制作された内容です。記載内容は予告なく修正、変更を行なう場合が有ります。
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