/ 3月〈1〉 腫瘍について(第2回)
今月は2月に引き続き、3つの腫瘍についての話をしたいと思います。

乳腺腫瘍について
乳房は乳腺と皮膚、脂肪層とで構成されています。乳がんは、これらの組織にできる腫瘍をいいます。ヒトの世界ではよくみられる乳がんです。
犬の場合「オッパイにしこりがあるのですが」と飼い主さんからよく聞かれる言葉です。
最近は早期に避妊手術する子が増え乳がんの発生率は減少しています。これは、乳がんの発生が卵巣から出るホルモンの影響を受けているため、初回発情時に不妊手術をした雌の場合は発生が少なくなるのです。若い時期の不妊手術の効果は犬ではすでに証明されていますが、残念ながら猫では犬ほど効果がないようです。乳腺腫瘍は、10歳前後によくみられる腫瘍で、統計によれば雌にできる全腫瘍の約半数にも相当します。

乳腺腫瘍の症状
乳腺にしこりがあったり、皮膚の炎症のようにみえます。しこりに潰瘍ができてしまう場合もあります。老齢の犬や猫に、このような症状がみられたら早めの検査を行いましょう。
すべてが悪性の腫瘍ではありませんが、早期に発見しないと転移する可能性もあります。
おっぱいにしこりがみられたら早めに検査を行いましょう。

早めの検査が大切です。
乳腺腫瘍の治療
予防法としては不妊手術があげられます。初回の発情までに不妊手術を受ければ乳腺腫瘍の発生は非常に少なくなると言われています。
腫瘍が発生してしまった場合には、外科的に切除するのが一番よい方法です。
手術前には、血液検査、X線検査などを行い一般状態や腫瘍が転移していないかを調べます。
外科的処置以外に放射線、科学療法などがあります。

大切な家族
肥満細胞腫について
肥満細胞腫という病気の名前から太っている子にできる腫瘍と勘違いされやすようですが、太っていることが原因でできてしまう「がん」ではありません。
肥満細胞は別名マスト細胞とよばれ、アレルギーの原因となる物質(抗原)に触れると、炎症を起こす物質を細胞の外に出してしまう細胞です。
肥満細胞は花粉症などのアレルギーにも関与している細胞として有名です。このように肥満細胞は、体の免疫反応にかかわる正常な細胞ですが、この細胞が無秩序に増殖したのが「肥満細胞腫」です。
切除しても再発しやすく、また、肥満細胞が出す物質のために全身への影響が大きい腫瘍です。

肥満細胞腫の症状
皮膚が盛り上がったり、硬い塊になったりして、わき腹や四肢などの皮膚によくみられます。皮膚にできる肥満細胞腫は一般的には2つあります。一つは表面が赤くなったり潰瘍状になってもりあがり、触ると硬くなっているものと、もう一つは毛が生えて柔らかくその境目がわからないものです。

肥満細胞腫の治療
肥満細胞腫はそのほとんどが悪性なので、可能なかぎりすぐに外科的に切除すべきです。
放射線療法や化学療法は、肥満細胞腫が進行していたり完全に切除できないときに考慮されます。

早めの発見が大切
3月〈2〉 リンパ腫について

この記事は2009年3月現在制作された内容です。記載内容は予告なく修正、変更を行なう場合が有ります。
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