/ 5月〈2〉 クリッカートレーニングの問題点について
ところが一つ問題点があります。
人間の能力には限界があり、実際にごほうびをあげたときは、もうすでに強化したい行動の直後ではない場合が多々あります。
犬の行動はひとつひとつ細切れに動いているのではなく色々な行動が連続して起こっています。その中の一つの行動だけを強化することは、かなり無理があります。そうしたタイミングの差や現実的な矛盾を補う道具こそがクリッカーなのです。
「カチッ」っという短い刺激で、連続した犬の行動の中の、人間が強化したいこと(望む行動)をうまく切り取ることができるというわけです。
つまり、クリッカーの持つ特長を、犬の立場になって考えてみると、人間が犬に何を望んでいるのか、求めている行動が(クリッカーを使わないトレーニング)よりも)わかりやすいのです。

ごほうびについて考えてみよう
クリッカーの「かちっ」は、「ごほうびが」もらえるという約束であるということは先ほど述べました。
ごほうびを辞書で調べてみると「ほめて与える品物や金銭」と書いてあります。少なくとも犬のトレーニングにおいてのごほうびの意味としては十分ではないと思います。ごほうびは、犬にとって行動を強化する原因となる性質があります。つまり、ごほうびには、ごほうびが貰えた直前の行動を強化するということです。クリッカートレーニングのみならず、犬のトレーニングはこの原理を利用しています。とても大切なことになります。

大好きな事
「ごほうび」=「トリーツ(おやつ)」?
また、ごほうびは強化子として機能しなければあまり意味がないということです。つまり、犬が欲しいと思うモノを手に入れることができたときに初めて成立するものであり、トリーツなどを食べるモノだけでなく、たくさんあるのだということ、そして人間からの一方的なものであってはならないということです。
しかし、クリッカートレーニングにおいては、トリーツのみの使用をお勧めします。なぜかというと、理論的にお話しするとその他のごほうびも利用することはできるのですが、すべての犬に対して一般的ではなく(遊ぶことが好きな子もいれば嫌いな子もいるということです。)時間がかかるということ、違う学習法方法がある(おもちゃを与えると返してもらわないと次に進めません)などの理由によりトリーツが一番適していると思います。

欲しいもの
ただ、絶対にトリーツでなければいけないということではないので良いごほうびがあればそれを否定するわけではありません。

どんなトリーツ(ご褒美)がいい?
クリッカートレーニングで使うトリーツは、犬が噛まずにそのまま飲み込めるものがいいのではないでしょうか?手やカッターなどで簡単に切ることが出来、ばらばらに崩れることもないものがいいと思います。もちろん普段食べているトリーツ(ご褒美)でもかまいませんし、普段使っているドライフードを使ってもいいでしょう。一つお話しておかなければならないことは、日常の食事量は、クリッカートレーニングで使う量を考えて減らしましょう。また、クリッカートレーニングでは、トリーツをたくさん使うので一回にあげるトリーツの量は小さくしましょう。

ご褒美
今月はここまで、来月もクリッカートレーニングについてもう少しお話します。

5月〈1〉 クリッカートレーニングについて

この記事は2009年5月現在制作された内容です。記載内容は予告なく修正、変更を行なう場合が有ります。
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