/ 12月〈1〉 うさぎの毛球症について
今回お話しするテーマは毛球症です。

うさぎも数年前に比べ、ペットとして飼われる方が増えてきたように思います。それでも、動物病院で対応する病院は少ないと思います。うさぎは、犬や猫に比べさらにストレスに弱く動物病院で何かをするとなると、私たちはとても神経を使う動物のひとつです。また、草食動物なので、犬、猫とは根本的に異なる看護が必要になってきます。

うさぎの毛球症は非常に多発する疾患であり時には命に関わることもある怖い病気でもあります。猫の毛球症は毛玉を自分で吐いて解決してしまうことが多いのですが、嘔吐ができないうさぎの場合事は重大になります。

うさぎは毛玉を吐きませんから詰まっているものが何なのかよくわかりません。全身麻酔をかけて胃カメラを飲ませ確認すれば確定診断できるかもしれませんが、具合が悪く食欲がなくなったうさぎにおこなうのは論外になります。
したがって、この毛球症という病名を臨床的に使うべきではないといわれていますが、飼い主さんの間でも、獣医師の間でも通っていますのでこの言葉を用いることにします。

正常時にもろっ骨よりも尾側にはり出しています。
うさぎの毛球症ってどんな状態なの?
胃毛球症というのは胃の幽門部に毛球が詰まった(栓塞した)状態をいいます。手術や部検で毛球が詰まっていたことが確認されれば確定診断できますが、診察・検査の段階でこれを確定することはできません。毛球以外の異物(じゅうたんの毛や壁紙、ビニール片など)が詰まっているのかもしれませんし、胃潰瘍から瘢痕が生じて幽門部狭窄をきたしている可能性もないとはいえません。あるいは異物がまったくなくて、たんなる機能的異変、つまり胃または十二指腸あたりの蠕動運動が急に停止したり、急激に停下したりした状態でもほとんど似たような症状になります。
ウサギの胃の模式図
臨床的に把握できることは、胃が(まったく、またはほとんど)動いていない状態であるということです。従って、毛球症という病名ではなく、胃停止、または胃の運動性停下と呼ぶべきだとされ、診断は幽門部閉鎖の疑いとすべきでしょう。ただし、現実問題としてその大多数は毛球症であると考えられます。幽門に詰まった毛玉の多くは猫と似たもので毛とフードが固まったようなものです。猫では毛玉が幽門を閉鎖すると胃液が小腸に下りなくなくなりますから、猫は吐き気を催して、胃液と毛玉を吐き出します。
毛球症で胃が拡大した胃
この猫が吐き出す毛玉のようなものが、うさぎにも詰まっていると想像していただいてよいと思います。毛が詰まると胃の中の食べ物も液体もガスも、すべてが小腸に出ることが出来ずに吐くこともできませんから、とても苦しくて痛みも起こります。
12月〈2〉 うさぎの毛球症の原因はなに?

この記事は2010年12月現在制作された内容です。記載内容は予告なく修正、変更を行なう場合が有ります。
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