/ 12月〈2〉 うさぎの毛球症の原因はなに?
直接的な原因は、グルーミングのときなどに飲み込んだ毛が幽門に詰まることです。たくさん飲み込めば、かならず詰まるわけではなく、詰りやすくなる原因(素因)がいくつもあります。第一の素因として先天的な問題があります。胃の運動性がやや弱いなどという先天的な弱点があれば、胃毛球症になりやすいわけです。どんなに気をつけていても、毛球症を繰り返すような子は先天的素因が疑われます。

第2の素因はうさぎの性格です。神経質なうさぎはしきりにグルーミングする傾向があり、その結果、毛を飲み込む量が多くなります。加えて神経質なうさぎはストレスを感じやすくストレスは自律神経を介して胃腸の運動性を低下させます。そのため、動きの悪い胃に毛が滞り、詰まりやすいということになります。

第3の素因、これは重大な問題なのですが、食事内容です。乾草をたくさん食べているうさぎはなりにくく乾草以外のラビットフードやクッキー、麦などを多く食べているうさぎはなりやすい傾向があります。ラビットフードや穀類のように、胃に入ったときに粉状なっている食物は、毛を固まらせてしまいます。一方臼歯で咀嚼された渇草は、胃の中に入ってもまだ長い線維を含んでいますので、固まりにくく、逆に胃の中の毛を絡めて腸へと送る働きをします。野菜は特によくも悪くもないと思われます。胃の中で固まりやすい食物を一気に食べるという食習慣もよくありません。

第4の素因は長毛種です。アメリカンファジーロップ、ライオンラビット、ジャージーウーリーのように長毛のうさぎは短毛種よりも毛球症になりやすいといえます。

X線での診断画像1
X線での診断画像2
X線での診断画像3
適切な全身運動が胃の運動性を高めると考えられています。毛球症はほとんどすべての年齢層にみられます。換毛期に発症が多いようですが、毛を飲み込む量だけが要因ではないので、換毛期にしかならないということではけしてありません。来月も毛球症の続きです。

参考資料 2010年AS9月号

12月〈1〉 うさぎの毛球症について

この記事は2010年12月現在制作された内容です。記載内容は予告なく修正、変更を行なう場合が有ります。
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