診断について
排尿に関する特徴的な症状が確認できれば、診断は困難ではないでしょう。しかし特徴的な症状が明らかでない場合も少なくないため、客観的な検査と組み合わせた診断が必要になります。また、主な症状の一つである血尿は尿石症や高カルシウム尿症に特異的な症状ではないため鑑別診断が重要となります。
触診で、膀胱内の結石を触知可能な場合もありますが、容易ではありません。また尿道が閉塞した場合は尿が充満して拡大した膀胱が確認できるかもしれません。
確定診断として単純X線検査は有用であり、カルシウムによる結石や砂はX線不透過性物質として通常明らかに抽出されます。それらが自然排せつが可能なものかどうかの判定は、以後の治療方針を決定するにあたって必要不可欠です。
また、単純X線検査は今後閉塞を起こす可能性、あるいは現在閉塞している結石の位置を確認を確認するためにも有用です。単純X線検査では明らかにできない結石の存在の確認や、膀胱内のX線不透過性物質が結石か砂(高カルシウム尿)かを鑑別できない場合などは超音波検査が有用になります。砂状のものであれば膀胱に振動を与えることによって、浮遊、散開する様子が確認できます。またこれら画像診断によって、水腎症といった併発症や子宮疾患などの鑑別すべき疾患の判定も同時に行います。
血液生化学検査は他の疾患との鑑別および現状の把握のために重要です。特に結石による尿路閉塞が存在する場合は、腎後性の高窒素血漿の評価を行うべきです。血中尿素窒素およびCreの上昇、高カリウム血症の存在は、積極的な改善治療の必要性を示唆しています。
尿検査において、炭酸カルシウム結晶あるいはリン酸アンモニウム結晶、三リン酸結晶を認めることはありますが、これらの存在は尿結石の存在の根拠とはなりえず、あまり重要ではありません。
尿結石の存在によって淡白質尿および血尿を認める可能性があります。また、治療の一環として尿の培養検査も必要になります。 |