坂井獣医科 Sakai Animal Hospital
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  2012年5月 診断について  
 

動物の年齢、生活環境および種類の情報と、咳症状の観察だけで、ある程度の疾患が絞られます。


 
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診断について
たとえば、飼育開始間もない3ヶ月齢の犬が持続性乾咳を示せば「ケンネルコフ」が疑われます。重喫煙者の飼い主に室内飼育された、10歳以上の小型犬が持続性痰産生咳を示せば「慢性気管支炎」や「気管支虚脱」が疑われます。夜間に悪化する痰産生咳の高齢犬で心雑音があれば「慢性心不全」が疑われます。また、比較的弱齢犬であれば湿咳があれば「気管支肺炎」疑われます。疑われる疾患に応じ、胸部レントゲン検査、血液検査、心臓超音波検査などをおこなって確定診断し、さらに詳しく病気の状態や程度を調べていきます。

 
   
 

治療について
画像5咳の治療は、原因疾患に合わせた治療を行い、その症状を終息させます。ケンネルコフや気管支肺炎などの感染性疾患は、抗生剤投与で治療します。ただし、抗生剤をいくつも変えていくことは肺の中で耐性菌をつくることになり、結果として治療を困難にしてしまうことがあります。薬を2回変えても感染の兆候が消失しない場合は、気管支鏡検査で病原体について調べる必要があります。また、ひとつの抗生剤の投与期間は2週間を目安にします。

気管虚脱は早期から中期であれば体重減量や首輪の使用を止めることで症状は緩和します。暑さを避けることも重要です。しかし、完全に気管が潰れた状態では、外科療法やカテーテル治療などの積極的な治療が必要になります。

慢性気管支炎や気管虚脱は根治できないため、一貫して、咳をできるだけ緩和させる治療を行います。末梢気道にかく痰がすぐに蓄積してしまうので、胸を軽く叩いてあげたり、軽い運動をさせたりして気道内での痰の流れを作るようにし、楽に咳をさせてあげることが重要です。肥満も肺を圧迫して、痰の流れを悪くするので減量を有効です。痰産生咳の対処療法には、気管支拡張剤や去痰剤を用いたり、ネブライザー(噴霧)療法も行います。慢性心不全と診断されれば、循環器の治療を行います。肺水腫の場合、ネブライザー療法を行うと状況が悪化するので行いません。


 
  参考資料 AS  
 

2012年5月 呼吸器疾患「咳」について

 
  この記事は2012年5月に制作された内容です。  
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